落語を楽しもう
文化放送とタイアップ!
文化放送秘蔵の名演から『浜松町かもめ亭』の最新の演目まで、毎月一話選りすぐりの演目をお届けします。
音源提供:株式会社文化放送 落語の蔵
1月の演目
解説:
ある商家のお正月。丁稚の定吉は正月祝いの準備に忙しい。まず井戸から水を汲む用を言いつかるが、元日の初水汲みは、「あらたまの年、立ち返る朝より、若柳水を汲みそめにけり」という和歌を三回そらんじながら、「お年玉です」と言って、だいだいの実を井戸に投げ入れるのがしきたり。定吉は和歌の文句をよく覚えられず、「目の玉のでんぐりがえる朝には末期の水を汲みそめにけり」と言い、「これはお人魂」とだいだいの実を投げ入れる。雑煮の支度ができあがると、店の番頭、手代といった連中が集まり、新年の挨拶を交わす。福茶を飲んでいると番頭が一句出来ましたという。「お福茶や茶碗の中に梅香り」。旦那は感心して番頭を褒めるが、定吉も一句浮かんだと言い出す。聞いてみれば「お福茶や茶碗の中に梅干しと昆布がどざえもん」。縁起を気にする旦那は、定吉のすることに苦い顔・・・。
東京で上方落語を演じていた桂小南の口演。お正月らしい風情を楽しむ噺である。昔の日本人は、お正月になると口々に「おめでとうございます」と言い、万事縁起を担いだものだった。そうした時代の風俗の記録としても貴重。丁稚の定吉はさんざん不吉なことを言うが。オチでは見事にめでたいひと言を言って決まるのも、後味がいい。 番組名『辛口名人会』
2月の演目(予定)